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kuro score >>> cross core !!!

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池上永一新作は、19世紀の琉球を舞台とした下町人情物。
筑佐事(江戸でいうところの岡っ引き)の職に就いた
直情径行型青年・武太が、那覇の町で起きる諸々の事件に
文字通り体当たりでぶつかっていく。時代的に重なってる
前作『テンペスト』の登場人物も毎回一人ずつこっそり登場。
人情物とは言え、池上作品だから一筋縄ではいかない
暴走展開だろうと思って読み始めてみたら、意外に
おとなしめというか、今までにない抑えた筆致。
ボリュームも、いつもの過剰なまでの詰め込みが
なくて、一日でさらっと読み終えてしまえるほど。
なんでだろうと考えてみたら、今回はメインの
キャラクターがふたりとも男性(武太と大貫長老)。
過去の池上作品見ると、物語を引っかき回すのは常に
パワフルで向こう見ずで茶目っ気のある女性たち。
男はむしろ存在感が薄くなりがちなので、こういう
落ち着いた話になったのではと勝手に妄想。

キャラクターがあまり暴走しないぶん、ちょっと
ストーリーが史料に引っ張られてる感あるが
読み進めていけば結局なんだかんだで面白い。
時代物といっても琉球が舞台なので、その中に
琉球ならではの要素が普通に紛れ込んでくる。
特に毎回出てくる沖縄料理は定番料理ばかりだけど
よく知らない人が見たらメニュー名の時点で
意味不明だろうなあ。フーチバージューシーとか
クーブイリチーとか中身汁とか。個人的には
中身汁なんて大好きだが。そうした微妙な違和感が
読んでるうちにじわじわクセになってくる。あとは
とにかく、この作者が描くオバァネタに外れなし
ということをあらためて実感。美少女より遊女より
オバァが断然かわいくて切なくてチャーミングに
見えてしまうのが一番の池上マジックという気がする。

ちなみに本巻では全6話収録されているが、内容的には
まだまだ続きそうな雰囲気だったので、続刊を期待。
黒マンサージの正体も、まだ分かってないしね。

■池上永一『トロイメライ』 角川書店












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