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kuro score >>> cross core !!!

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池上作品で唯一手に入れられず未読だった『夏化粧』が
いつの間にか文庫で出版されてたので速攻購入&読了。
表紙イラストは、アジカンのジャケットでおなじみ中村佑介氏。
最初にぶっちゃけとくと、『風車祭』についで二番目に好きだ。

物語は、産婆に「母親以外には見えない」というまじないを
かけられ、本当に母親以外に見えなくなった息子の姿を
取り戻すために奮闘する若い母親が主人公。
息子の姿を元に戻すには、母が彼にかけた七つの願いを
取り戻さねばならない。そしてその方法は、彼女自ら
陰(いん。生き霊みたいなもの)の姿になって、
同じ願いをかけられている人物から奪いとること。

最初こそ彼女は簡単に願いを奪っていく。また、彼女が息子に
かけた願いの内容が「東京ドームでコンサートしてほしい」とか
「オリンピックで金メダルとってほしい」と無茶苦茶なものばかり。
そんなこともあって、はじめは笑いながらのん気に読み進めていける。
だが、やがて大切な人からも願いを奪わねばならなくなり、最後は…。
途中まではフツーに読んでたんだよ。笑うとこもいくつかあるけど
『風車祭』とか『レキオス』に比べたらおとなしめだし、
出てくる人もそこまでイカレてない。だから普通にちょっとクスッと
笑って、普通におもしろかったなーで終わりそうな感じ。
終盤の大事な人から願いを奪うってところも何となく想像できたし。

でも、最後でね。あー、そういうオチかーって思いつつね。
小さいけど、力強い手で胸の奥を握りしめられる感覚。
結局、男はオカンネタに弱いんだよ。
『東京タワー』のブレイクを持ち出すまでもなく。

母親が人知れず必死に息子を守る。
最初、喜劇じみていたのが、いつの間にか悲劇に転じてる。
そして、そうなることを母は初めからなんとなく理解している。
気づいてないのは、息子(=自分)だけ。
それでも、どんな最期が訪れようとも、息子だけは…。
最後まで読んで、もう一回最初から読み直して、ようやく主人公の
本当の必死さに思いいたる。

息子のためなら自分の命なんか惜しくない。
現代では、ともすれば冗談にしか聞こえない想い。
でも、そう思える母親がきっと現実にもたくさんいるんだろう。
単純で、純粋で、限りなく強い、たったひとつの想い。
話は創作でも、その想いは実在する。そう思わされる。

あと、主人公同様に願いを奪い続けるおばさんもよかった。
なんでか、こういちくん(@ぼくんち)のセリフが浮かぶ。
「どの子が生まれたって、それがオレだよ」












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