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kuro score >>> cross core !!!

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『誰も知らない』の是枝裕和監督最新作は、におい立つほど
濃厚なホームドラマ。ここにあるのは、作られた芝居・役者
ではなく、どこにでもいるような、ただの家族の姿、ただの日常。
それでも、最後まで一切の緩みなく惹きつけられる。
ある夏の日、年老いた夫婦の住む実家に、姉夫婦と弟夫婦が
帰省してくる。その日は、早くに亡くなった兄の命日だった。
冒頭から交わされる会話は他愛のない世間話で、最後まで
特にこれといった事件も起きることなく、正味二日間の
家族の姿が淡々とスクリーンに映し出されるだけ。
なのに、ひたすらおかしく、悲しく、心にのしかかる。
映画という作り物のはずだが、まぎれもなく一つのリアルな
家族が、ここには存在している。饒舌かつ毒舌でマイペースな
母親、無口で子との関係がうまくとれない父親、口は悪いが
ムードメーカーの姉、父親に似ていろいろと不器用な弟…。
特に母親の造形が凄くて、「うわ、うちの親と一緒だ」と
たびたび頭抱える羽目に。とにかく、年老いた親を田舎に持つ
身であることを差し引いても、この作品はあまりに生々しく眼前に
迫ってきて、あっという間に観客を向こう側に取り込んでしまう。

中身もとりとめもなく、ただ垂れ流されているようで、無理に
作った言葉ではなく、生きた人間から発せられたと感じられる
生き生きとした(そして思わず笑ってしまう)セリフ群。
押し付けがましさはないが、圧倒的存在感を示す役者陣
(樹木希林の老獪さと、YOUの軽さは奇跡的)。
美しいだけでなく、見ていると昔の記憶が立ちのぼってくる
鮮やかな夏の景色。映画ではなく、自分のひと夏の経験として
記憶に刻まれる、そんな錯覚さえ起こさせるような作品。
最後の独白は、このままいくと確実に、遠くない将来
自分も口にするだろう。今なら、まだ間に合う…のか?












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