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朝倉かすみ『そんなはずない』

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デビュー作『肝、焼ける』で、第72回小説現代新人賞を
受賞した朝倉かすみの3作目。
と言っても、この人の作品を読むのはこれが初めて。
デビュー作からトヨザキ社長が絶賛してた訳だが
ピンと来るものがあったのは、こっち。
話は、婚約したはずの彼氏にふられ、勤めていた信組が
破綻した30歳の女性が主人公。彼女には、3歳下の妹がいて
これがまた、嫁がなくとも小姑気質。
ねえちゃんに対して、容赦なくつっこむ、切りこむ。
でも、実は恋愛には慣れておらず、気になってた男性を
姉に持ってかれて迷走を始める。
特に213ページからの展開は、意表を突かれて思わず
呆れるやら笑ってしまうやら。愚直という言葉は
この妹のためにあるような気がする。
逆に、最初は気の毒な感じだった姉は、読み進めるうちに
段々と計算高い女性であることが見えてくる。
…のだが。所詮、頭だけで計算していても、他人はおろか
自分さえも思い通りにならないことに気づかされていく。
自分、妹、彼、元彼、職場、母、父。
ぐるぐる回って、ひとつところに安定しない関係性の中
主人公は頭だけじゃなく、心とからだもフルに使って
もがきながら前に進む。急ぐことなく、ゆっくりと。

文章は(この人独自のものか分からないが)地の文に会話文が
はみ出していくのが、ひとりごちてるようにも、他人事のようにも
聞こえておもしろい。その一方、妙なところで平仮名の多用が目立つ。
かれ、かのじょ、正確をきする…。明らかにわざと
やってるっぽいんだけど、どういう意図があるんだろう。
なんか、気になる。

■朝倉かすみ『そんなはずない』角川書店

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