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ジョーカー

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バットマンの最大の敵であり、常に道化師の姿を
まとう男・ジョーカー。彼を主演に据え、その
生まれる経緯を緻密に丹念に描いた作品が公開。

1970年代、ゴッサム・シティ。
格差が拡大し、少数の富裕層に富も権力も集中する一方
福祉は削減され、生活困窮者はますます追い込まれていた。
母を介護しながら、自身も病を抱えるアーサーもまた
カウンセリングや投薬治療を打ち切られ、絶望の淵にあった。
さらに仕事まで失った彼の手には、もはや何も残されておらず
大事なものが零れ落ちていくのを、ただ眺めているよりほかなかった―

一応、バットマンシリーズのスピンオフ的な立ち位置だと
思うんだけど、そうとは思えないくらい暗く重く救いのない
社会派映画だった。鑑賞後すぐに思い出したのが、過去の
バットマンシリーズではなく、理不尽に福祉を打ち切られた
男の静かな戦いを描く『わたしは、ダニエル・ブレイク
だったほど、個人的にもしんどい内容。あんな感じで
じわりじわりと一人の中年男性が追い詰められるシーンが
全編を貫く。正直、最後の20~30分くらいは、派手な
アクションシーンがあるのかなあとか期待してたけど
そんな甘えなど許さない、ストイックな作りになっていた。

そんな暗澹とした世界の中で、唯一、本当にただ一つ
はっとするほど美しかったのは、アーサーがジョーカー
として生まれ変わり、階段で踊りながら解放されていく
シーン。ピエロのメイクをしてようやく、生気のある
表情を見せ、目にも光が宿るという皮肉めいた瞬間は
思わず見惚れつつも、どこか遣る瀬なかった。

今という時代にもつながる、きわめて社会的で質の高い
作品でしたが、ただ一つだけ不満があるとすれば
自分が求めていたジョーカー像とは少し離れていたこと。
個人的には、『ダークナイト』で描かれた、目的も
意味もなく、ただただ息を吐くように純粋な悪を行う
わけのわからなさ、理屈のない怖さこそが、まさしく
ジョーカー!という感じだったから、こんな他人事とは
思えないような哀しい過去は、あまり見とうなかった…。

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