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天気の子

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君の名は。』から約3年。
内省的な作風の、マニアックな監督だったのに
たったその一作で日本アニメ界を背負わされそうな
立場にまで追い込まれた(笑)新海誠監督の最新作。
離島から一人、東京を目指して家出してきた高校生
帆高。仕事探しはままならず、雨続きで暗澹とした街で
静かに追い詰められていく。そんな彼に射し込んだ
二筋の光。あからさまに胡散臭いが、なぜか衣食住を
保障してくれた男性・須賀と、ファストフード店で
働いていた同世代の少女・陽菜との出会いが、やがて
物語を、そして世界を動かしていく―。

あの大ヒットの後なので、プレッシャーやしがらみは
大変なものだと思うんだけど、今作もきっちり
エンターテインメントに仕上げた上、監督の作家性、
性癖、偏愛的なものも詰め込んだ隙のない一作となっている。
最初に目に付くのはやはり、その風景描写の繊細さ、美しさ。
雨続きで灰色に沈んだ東京が舞台だけど、街を走り抜ける
電車や、歌舞伎町に連なる雑居ビルのくすんだ色合いさえも
見惚れてしまうような絵力があった。さらに、その街に
落ちる雨粒一つ、濡れる木々の美しさは言うまでもなく、
陽が射した情景に至っては神々しさを感じるほどだった。

また、帆高、陽菜というメインの二人は、10代ならではの
未熟で、青臭い一面もありつつ、痛いくらい真っ直ぐで
繊細で、折れない心も持ってて、ちゃんと愛着が湧く
人柄になってたのが良かった。というか、ほっとした(笑)
個人的には、現実的&打算的でありながらも、最後は
本心が漏れ出て無茶しちゃう須賀がさらに良かったなー。
須賀の姪で、少年少女と大人をつなぐポジションにいた夏美の
ゆるさ、愛らしさも、作品を軽やかにしてくれていたように思う。

そして、肝心のストーリー。
最初はリアルに寄せつつ、途中からぐっとファンタジーに
切り替わるんだけど、その塩梅がちょうどよくて、自然と
物語に入り込み、気持ちも上がっていく作りになっていた。
ただ前作と比べると、バランスがよく綺麗にまとまっている分
カタルシスも弱まってしまったかなと思ってたんだけど、終盤
とある選択をした主人公の姿、心からの叫びを聞き、思わず
「うわっ」って変な声が出てしまう。これ、今まさに災害が
頻発する現在の自然環境のことを考えると、滅茶苦茶攻めた
決断になってて、実際に災害で被害に遭った人たちが見たらどう
感じるんだろうと、少し怖くなったりもした。でも、きっと監督は
ここまで踏み込まないと意味がないと腹を括ったんだろう。
その覚悟を(人によっては蛮勇と言うかもしれない)、
その愚直さを、そして物語の美しさを、自分は支持したい。

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