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kuro score >>> cross core !!!

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精力的に映画制作を続ける是枝裕和監督の最新作が
前作『三度目の殺人』から一年経たないうちに公開。
第71回カンヌ国際映画祭、パルムドール受賞。
高層ビルが立ち並ぶ都会の片隅に、ひっそりと5人で
暮らす家族がいた。貧しくも慎ましく生きる日々…と
思われたが、父と息子は万引きで生計を立てており
そもそもこの5人に血縁関係はなかった。そしてある日
“仕事”帰りに育児放棄された女の子を見かけてつい一緒に
連れて帰ってしまったことで、新たな家族の生活が始まるのだった。

地味にショッキングなタイトルで、その題名通り
初っ端からふたりの万引きシーンで幕を開けるのだが
ストーリーの大半で描かれるのは、むしろ6人の普通で、
穏やかで、何気ない日常の場面が中心。冬にはみんなで
鍋を囲み、時にはささいな喧嘩をし、夏には縁側から
音だけ鳴り響く花火に耳を傾ける。あまりに自然で、
優しくて、かけがえのない日々は、いつまでも続くものだと
勘違いしそうになるけれど、それを支える稼業が
違法なものである以上、先は長くなかった。長男の
人としての成長が、やがて偽りの家族生活に終止符を打つ。

今回は、狭く、物が多く、閉塞的な家が舞台であったため
その反対に開放的な屋外でのシーンが、強く印象に残った。
怪我をした足の包帯が目立つ父と息子の追いかけっこに
突然の大雨の中を駆け出す子供ふたり、そして家族全員で
出かけた海辺。波打ち際ではしゃぐ家族を見遣る祖母を演じた
樹木希林の、あのすべての感情を通り抜けた果てのような表情は
忘れることができない。そして表情といえば、エンディング。
バスから後ろを見つめる兄と、家の塀から前を見つめる妹の
眼差しで映画は幕を閉じるが、前(未来)の方が必ずしも
明るいわけではないと感じてしまったのは、エンドロールで
流れる曲がどこか不穏で、心の中がざわざわしたまま
終わってしまったからかもしれない。光が乏しくても
せめて子供たちには居場所がある世界であってほしいと願う。












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