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kuro score >>> cross core !!!

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今月は、先月発売だけど買いそびれてた新作と
完結したばかりの作品を含めた4冊。ジャンルは
見事にばらばらだけど、それゆえ楽しめた。

■清家雪子『月に吠えらんねえ』8巻 講談社
死の街を目指し、戦時下のサイパンを彷徨っていた
朔と犀のふたりがようやくたどり着いたのは、死の街の
洋館でひとり微睡む拓くん(≠大手拓次)のもとだった。
死の街を訪れてわかったこと。それは、□街では“死”が
抹消され、無意味化していたということ。時間を無効化する
詩歌の下では、時の流れは曖昧なままだった。そうした
□街に対し、時間経過の文学を司る小説街では積み重なった
ズレが大きくなっているはずであった。ということで
ここにきて、□街の朔と小説街の龍くんの出会いは必然となる。

巻が進めば進むほど、深く濃く重くなっていく本作ですが
この8巻では、今までのストーリーの中で密かに、丹念に
ちりばめられた謎が、朔と龍くんの会話の下で一つひとつ
解き明かされていく。□街の秩序たる神様、朔と白、女と男、
戦争詩と縊死体、犀と龍。□街の変化はいつから、誰から
始まっていたのか。そして朔が向かう先、向かうべきところは―。
いよいよ核心に迫りつつある一方、ストーリーを追うだけでは
いろいろと見落としてしまうことも多い訳で。愛らしくも
寒々しいケンジの世界、拓くんの憂いを帯びた告白、ついに
明らかになった犀のアレ、消えたくても消えられなかった龍くんが
ふと零してしまった感情。こうした忘れられない一瞬の数々も
本作を構成する核の一つだろう。物語は終わりが近づいているようで
寂しくはあるけど、最後のその瞬間まで見届けたい。

■石井明日香『ひさかたのおと』1巻 講談社
小笠原周辺の小さな島・靑島。
幼い頃、この島で母と暮らしていた記憶がある柚木巽は
再び学校の先生として、島の小さな学校へ赴任してきた。
そこで片翼のないサギと偶然(?)出会ったあたりから
彼の周囲では少し不思議な出来事が起こり始めるのだった―。
小さな島を舞台とする離島ファンタジー…というほど
極端な展開が繰り広げられるわけではなく、突風や凪、
雷といった自然現象と、島に生きる生物を絡めて
ほんの少しだけ不思議な世界を描く、現代版おとぎ話。
主人公の青年は一見、科学的で堅物のように見えて
島で起きる様々な現象をすんなり受け入れ、周囲の人々とも
互いに敬意を持ちつつ接するので、ストレスなく読み進められる。
何より島の海や空、空気感が美しく、優しく描かれているから
眺めてるだけでも楽しい一冊。特に1巻は、夏に読むのがお勧めです。

■藤本タツキ『ファイアパンチ』8巻 集英社
ディストピアからメタへ、そして再びディストピアへ
舞い戻った本作も、とうとう完結。サンやネネトを
始めとした、アグニが救った人々は結局脇役であり
これは最初から最後まで、アグニとその妹の物語だった。
このふたりに、いやアグニに多少なりとも影響を
与えられたのはトガタただ一人で、彼/彼女の想いを
ベースに、ふたりのストーリーは幕を下ろす。
壮大なような、ちんけなような終わり方も本作らしく
唯一無二だった。何から何まで実験しているような
作品を終えて、この作者は次にどこへ向かうんだろう。

■新久千映『ワカコ酒』10巻 徳間書店
一人飲み女子漫画ワカコ酒も、気づけば10巻。
こんなに長く続くとは思ってなかった。そして主人公の
ワカコも一人飲み女子としてぐんぐん成長し、今巻では
ついに一人焼肉や、一人かき小屋まで敢行…って、おっさんの
俺でもさすがに一人でかき小屋行ったことないぞ(笑)。
これからはワカコ先輩と呼ばざるをえない。あと何気に
エキニシのお店がモデルとしてちょこちょこ出てるけど
そのうちの一店でつい最近、作者の新久先生とニアミスした
ばかりという。あと一時間早く行動してればなあと思いつつ
実際会っても緊張するだけだから、会えなくて良かったのかも。












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