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kuro score >>> cross core !!!

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今年はあまり新しい作品を開拓できず、続刊物が中心。
Web漫画なら『青のフラッグ』や『映画大好きポンポさん』、
『彼方のアストラ』あたりが面白かったし、漫画喫茶で
一気読みした『ゴールデンカムイ』も良かったけど、
自腹で購入した作品のみランキングの対象にするという
マイルールで毎年やっているので、今年はこれで確定です。

1位:吾峠呼世晴『鬼滅の刃』8巻
個人的に、今年はやっぱり鬼滅の一年だった。
昨年は打ち切りに怯えてたと思えないほど、今年に入って完全に
化けた感。純粋石頭主人公・竈門炭治郎に、弱腰&狂気つっこみ
我妻善逸、天然猪頭・嘴平伊之助を加えた同期凹凸トリオの完成。
さらに、初見では全員狂人に見えた鬼殺隊最高位の9人「柱」は
そのバックボーンが明らかになるにつれ、背負っているものの
重さと懐の深さ、愛すべき人間性が滲み出てきて、みんな
好きになってしまうという。意外といじられ役だが背中で語る
冨岡義勇、笑顔の奥に悲哀を秘める胡蝶しのぶ。そして
人間の尊さを説き、後進にその生き様を焼きつけたまま散った
煉獄杏寿郎。熱く愛おしく心震える少年漫画が、今、ここにある。

2位:市川春子『宝石の国』8巻
これほど長い連載になるとは思ってなかった本作ですが
8巻にして大転換期を迎える。月人に襲われるという状況は
ありつつも、どこか最後の楽園感が漂っていた世界が
一転、薄氷の上に成り立っていたことを思い知らされる。
そのきっかけとなったのが、まさしく敵対していた
月人自身の告白によるものだったという皮肉。ここにきて
短編時代の市川先生を彷彿させる、切なくも救いのない描写が
炸裂し、心がしんどくなる一方で、これこそ求めていたものだ!と
どきどきする感情を抑えられない、このアンビバレンツ。宝石たちの
ことを思うと悩ましいけど、もうとことんまで描ききってほしい。

3位:熊倉献『春と盆暗
妄想女子と冴えない男子が出会う、ボーイ・ミーツ・
ガール連作短編集。1巻完結でたった4話だけなんだけど
ここには恋愛一歩手前の戸惑いや、ちぐはぐな言動、
掴んだと思った瞬間すり抜けてしまった想いなどが
ぎゅっと詰まっている。そこに、道路標識が何本も刺さった
月面や、水中に沈む中央線、粉砂糖の粉塵爆発で広がる
終末世界といった妄想が重なり、なんだかよくわからない
ゆるさと心地よさと愛おしさが漂う、不思議な読後感の一冊。
何度読み返しても、じわじわとあたたかい気持ちになれます。

4位:福満しげゆき『中2の男子と第6感』4巻
こちらは中2男子の妄想が暴発した物語の最終巻。
いじめられっ子が女子高校生のイマジナリーフレンドを
生み出し、気づけばリアルの女子高校生とも仲良くなるという
これこそ真のボンクラ妄想漫画だったはずなのに、最終巻では
さらに“その先”を描くことに。それは、いじめっ子と対峙し
堂々と対決するだけでなく、主人公の成長にも踏み込む展開へ。
この、主人公が成長するという当たり前のことが、福満作品を
ずっと読み続けてきた者にとってどれだけ衝撃で、感動的だったか。
捨てキャラだった通り魔青年でさえ真っ当な人生を歩み、中2は天寿を
全うする。そして孫娘へ…。この巻だけで妙な大河感を味わえる奇作。

5位:五十嵐大介『ウムヴェルト
10年間で描かれた全10編の短編を収録した作品集。
どれも現代的で現実的な世界に、少しファンタジー要素が
混ざり込んできたようなストーリーが繰り広げられる。
愛らしい人物以上に、背後に描かれる濃密な自然の方が
より雄弁なのは、この作者らしくて素敵。その中でも
ディザインズ』の前日譚となる「ウムヴェルト」は唯一
SF色が強い異色作だったことがわかる。この一編だけは、
背景やストーリー以上に主人公のカエル少女の魅力に
満ち溢れてて、彼女の一挙手一投足に、ただ目を奪われる。
6位:清家雪子『月に吠えらんねえ』7巻
核心へ、迫れば迫るほど、朔は身を、心を削り、闇に沈む。
彼を救うのは、ミヨシか犀か龍、それともやはり白さん。
いや、そもそも救われることなど望んでいるのか―。
ということで、冒頭からひりひりした展開が続く今巻では
戦地を巡る犀と朔の邂逅で、あらためてあの戦争と詩の
相克に直面する。国家とは、日本とは、近代とは、そして
詩とは、いったい何だったのか。朔という稀代のキャラクターを
経て、本作は静かに、ひたひたと核心へ突き進んでいく。

7位:木村紺『巨娘』4巻
群像劇路線だったボクシング漫画『マイボーイ』が
完結した影響か、一話完結暴走ギャグ路線の本作にも
キャラクターを深掘りするテイストが足された結果
今までの巻数の中で一番味わい深い仕上がりとなった第4巻。
ジョーさんの豪腕で万事解決する基本は変わらずとも
ぶっ飛ばされる相手側に人間味が感じられるように
なったことで、より面白くなった気がする。特に再登場の
リベンジャー・ソボティーの生き様は、熱くて泣けた。

8位:諫山創『進撃の巨人』22巻
今さら進撃?と言われようとも、やはりこのタイミングで
入れざるをえない。21巻から引き続き、世界の謎が明らかに
なっていく気持ちよさと相反し、そこで語られる内実は
絶望感しかなくてダメージを受けるという。これだけ感情を
振り回されたら、逆にクセになるわ。あれだけ追い求めた
“海”にたどり着いても、その先には自由どころか、さらに
相容れない敵がいる。三人が心から笑える日は来るんだろうか。

9位:沙村広明『幻想ギネコクラシー』2巻
沙村広明渾身の短編集、まさかの続刊登場。
渾身といっても、ここではくだらないことに全力を尽くす
という意味になります。12編収録されたストーリーは
どの話も意味ありげに始まったかと思えば、最後の
数ページで全部ちゃぶ台ひっくり返されるという。
でもそれがクセになってくるので、もっと続きください。

10位:桜玉吉『伊豆漫玉日記
地味にリハビリ復活中の玉吉先生最新作。
その内容も、東京での漫画喫茶生活と、伊豆の山荘暮らしを
ただただ地味に描き綴っているだけ。なのに、なんでこんなに
味わい深くて、繰り返し読んじゃうんだろう。絵だって大半は
ふにゃふにゃの略画なんだけど、むしろそれがするすると
沁み込んでくる。こんな風に何年かに一度、新作届くといいな。

2016年版ベスト10
2015年版ベスト10
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2010年版ベスト10
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