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kuro score >>> cross core !!!

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今月は、ちょっと予想外に刊行数が多い。
最近は発売する月と、しない月の差が極端だなー。
待望の作品が出るのは嬉しいんですけどね。

■清家雪子『月に吠えらんねえ』2巻 講談社
□(詩歌句)街が舞台の近代文学ファンタジー第2巻。
1巻の時点で問題作感満載でしたが、2巻にしてさらに
加速&深化。最初に収録された第五話冒頭からアクセル
踏み続けて最後まで突き進んでいく。お互い対照的で
ありながら、詩作に対して純粋な(それゆえ容赦ない)
白と朔の共鳴と反撥が剥き出しに描かれる五話を筆頭に
今後の展開に大きな影を残す「1945年」がベースとなった
六話、ミッチー(立原道造)と純潔と吉原と、の七話、
チューヤ(中原中也)のファム・ファタルとの恋を切なく
タイトにまとめきった八話、鐵筋コンクリート!から
次巻以降のストーリーに布石を打った九話と、今回も
濃厚濃密濃縮仕上げになっております。

個人的には、五話の白朔ふたりの共依存的嗜虐プレイと
間に挟まれるミヨシくんの直情的愛情発露とか、八話の
朔とチューヤ邂逅からの「汚れつちまつた悲しみに」に
やられたけど、コタローくん(高村光太郎)の戦争詩を
発端に、インパールへ向かうビルマ戦線へ放り込まれた
犀と学徒兵の一瞬のつながりが、心に重くのしかかった。
「先生方も文学が総動員されるなんて思っても
みなかったんでしょう」。まだ若い兵士がつぶやいた
台詞は、この作品の行く末を暗示することになる。
■堀尾省太『刻刻』8巻 講談社
伝奇アクションSFも、今巻で完結。
最大の敵と思われた佐河が予想外の姿に変異し
ほとんど意思も動きも見せなかったため、今までで
一番落ち着いた展開に。だからといって退屈な訳でなく
主人公一家が様々な葛藤を抱えながら覚悟を決めていく
様子が丹念に描かれており、しみじみと心に沁み渡る。
前巻でおいしいとこを持っていってたお父っつぁんが
あっさり退場するのは想定内として(笑)、一家の長女
樹里の淡々とした腹のくくり方が、超越的すぎるというか
どこか他人事のように感じられて違和感が。でも、全員を
見送って、すべてを悟った最後の最後、家に帰りたい
という本音が見えて、ほっとした。そこからは意外な
終幕を迎えるけど、静かで日常で、とても後味がよかった。
しかし、初連載作品で一切ブレることなく、8巻という
程よい分量でまとめきるストイックさには、ただ感嘆。
次回作にも、思いっきり期待してしまう。

■荒木飛呂彦『ジョジョリオン』8巻 集英社
謎の男・八木山夜露との対決も決着ッ!
…なのかな。東方家の財産を奪うという彼の表向きの
目的は見えたものの、定助を狙う理由は分からないまま。
さらに体質が「岩」という新しい謎を残して消滅という。
彼の残した数少ない情報を元に、東方家の呪いも交えて
進行するかと思いきや、東方家の長男登場で、またもや
話はややこしい方向へ。どうやら、4部直系らしい
駆け引き&頭脳戦に突入する模様ですが、ここしばらく
康穂の出番が少ないのが、少しさみしいと思ったり。

■三宅乱丈『イムリ』16巻 エンターブレイン
ミューバとデュガロの関係性がついに崩壊。
そしてミューバが初めて優位に立つことに。今まで
騙されていたことに気づいたんだから、デュルクとの
すれ違いもこれで解決…するはずもなく、怒りで冷静さを
失ったまま直接対決へ。それだけでなく、ずっと献身的に
働いてきて、いつかデュルクの仲間に戻ったりするかもと
期待していたラルド覚者をあっさり奴隷化する始末。ただ、
彼の意思を継いだ従者イマクが、イコルの世界を変える
小さなチャンスを手にする。一方、デュルク率いる
イムリたちもカーマの基地へ乗り込む術を得る。イムリ、
イコル、カーマ。三民族の戦いの幕が切って落とされた。

■冲方丁・作/槇えびし・画『天地明察』7巻 講談社
様々な障害はありつつも、折れることなく一歩一歩
改暦事業へ邁進する主人公。世の中の流れも自分たちを
味方するように動き始め、揚々と進み出したその刹那
彼は最愛の妻おことを失う。さらに追い込むような形で
師・伊藤も、改暦事業を託した保科肥後守も逝去する。
もはや失うものがなくなった主人公は、落ちるところまで
落ちた後、覚悟を決め勝負に出る! …とにかく今巻は
おことなんですよ。病気がちだった描写はあったものの
原作は未読だったから、こんなに呆気なく亡くなって
しまって、ただただ悲しい。なんだかんだで主人公は
立ち直ってるけど、読者の心には、この先ずっと残るだろう。

■今井哲也『アリスと蔵六』4巻 徳間書店
主人公たち以外の、普通の少女が能力に目覚めた世界。
その理由は分からないまま、次々と異変が起こる。
圧倒的な力を持ちながら、精神はまだ未熟な主人公は
新たな能力者と衝突する。1~2巻の展開がとことん
スピーディで刺激的だったのに対し、3巻以降は
ゆっくり世界と人物を描く方向へ転換。純真すぎるが
ゆえに、自分を曲げることを知らない主人公が
新しい出会いによって、他者を、自分を、知ってゆく。
徐々に蔵六の存在感が薄れてきてるけど、その方が
結果として主人公の成長を示すことになるんだろうな。

■松田奈緒子『重版出来!』4巻 小学館
今巻は、一見非道に見える編集者・安井と、漫画家に
なることを諦める沼田のエピソードが中心。漫画誌の
廃刊を契機に、それまで信じてきた夢も理想も捨て去り
現実だけを見るようになった安井。圧倒的才能のある
新人を前に、自身を徹底的に見つめ直す状況に追い込まれ、
だらだら続くけど心地よく幸せな世界と決別した沼田。
漫画を信じ、すべてを捧げてきたふたりの結論を、他人が
安易に咎めることも、否定することもできない。彼らが
選んだ人生に、微かでも幸福な瞬間が訪れることを願う。

■西原理恵子『毎日かあさん11 息子国外逃亡編』毎日新聞社
サイバラさんちのお子さんの成長がこわい(笑)。
娘さんはサイバラさんより背が高くなるわ、髪の毛の
左側面だけ勝手に刈り上げるわ、息子さんに到っては
部活にライブにキャンプに、まさかの勉強まで!
そして、今まではしっかりした娘と比較してバカに
されまくってた息子の方が、自分の人生を歩み出すことに。
彼が留学を決めるまでの顛末を描いた短編「息子急」は
子供のいない自分でさえ、胸が熱くなったり、ぐっときたり。
「たった16年しか育ててないのに。」っていう独白は
かつての息子であり、18で家を出た自分にも切なく響いた。
この作品はずっと続くものと勝手に思ってたけど、いつか
終わる時が来るんだろうな。そんなことをふと思った一冊。












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