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kuro score >>> cross core !!!

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先月も新刊多いと思ったけど、今月はさらに多い。
その上、やたら内容が濃い作品もあったから、読むのに
時間かかった。というか、まだ消化しきれてない気が。

■清家雪子『月に吠えらんねえ』1巻 講談社
おそらく、今年一番の問題作。
詩人、歌人、俳人が暮らす架空の街・近代□(詩歌句)街
を舞台に、変わり者揃いの住人の人間模様が描かれる
近代文学ファンタジー。…などというあらすじが空虚に
聞こえるほどの怪作。まず、萩原朔太郎や北原白秋、
室生犀星といった作家本人ではなく、作品から受ける
イメージを擬人化しているから、基本的に狂人しか
出てこないという。もうみんな初っ端から壊れてて
心の奥の一番敏感で弱い部分をむき出しにしたまま
ぶつかり、傷つけ合い、荒ぶっているんだけど、病んで
狂っているからこそ、純粋な創作が可能になるという
事実を身をもって示している訳で。作家や創作の持つ
業の深さをこれほど分かりやすく、かつ容赦なく
見せつけてくれる作品は、これまでになかったのでは。
収録されてるのはたった四話なのに、なぜか260頁もあり
4頁に渡る参考文献一覧には作品全集から研究論文まで
みっちみちに詰まってて、とにかくすべてが過剰。
この勢いがどこまで続くか不安もありますが、とことん
描き尽くしてほしいです。しかし、この作者は前作
『まじめな時間』といい、『秒速5センチメートル』の
コミカライズといい、優しく繊細な世界ばかり描いてきた
印象があるけど、猫かぶってたとしか思えないな(笑)。
■麻生みこと『海月と私』2巻 講談社
海沿いの辺鄙な宿を舞台にした、おっさんミーツ
ガール第2巻。今回も訳アリ夫婦や、商売敵の娘さん、
そして宿の主人の娘夫婦などなど様々なお客さんが
やってきますが、もうとにかく作品に流れる空気感が
1巻にも増して心地よくて、ずーっと浸っていたくなる。
いまだに素性が分からないのに、かわいくて気が利いて
さりげなく周りの人を動かしていく仲居の梢と
マイペースで淡々としてるように見せて、その実
負けず嫌いで子供っぽさも秘める主人という二人の
キャラクターが、この心地良さを生み出しているのは
間違いないんだけど、それだけでは説明できない
「何か」があるんだよね。刊行ペースはゆっくりで
いいから、長く続いてほしいなあって心底思う。

■沙村広明『幻想ギネコクラシー』1巻 白泉社
沙村先生の新作がまたしても登場。
知らないうちに、いろんなとこで描いてるんだなー。
内容に関してはまったく知らないまま買ったので
エグい話だったらどうしようとビクビクしながら
読んだけど、意外とゆるめの短編集でした。ただ、
ゆるいとは言っても、よくもまあこんな仕様もない
思いつきをこれだけ読ませる物語に昇華させるなと
感心するやら呆れるやら(笑)。個人的には、妖精の
女王が人間界に降りてくるやつがくだらなすぎて
最高でした。オチから何からすべてひどい(褒)。

■真造圭伍『みどりの星』4巻 小学館
ほのぼのSFカエル漫画も4巻で最終回。
1巻の時点で、冴えないし自己中だし、あまり好きに
なれないと思ってた主人公は、最終巻でもそんなに
変わり映えもせず、成長もしてないのに、なぜか
嫌いになれないというか、むしろ応援したくなる感じに。
格好悪くて無様で諦め悪くても、あのダメダメだった
主人公が迷いなく前に進む姿を見てると、単純だけど
胸が熱くなる。特に、塔の階段を競走しながら無心で
駆け上がるシーンは、別に感動的でもなんでもないのに
ぐっときてヤバかった。最後はベタな大団円でしたが
元々の設定が捻くれてたから、ちょうど良いバランスに。
なんだかんだでいい話だったし、次作にも期待。

■諫山創『進撃の巨人』13巻 講談社
巨人たちとの白兵戦がメインで、少年漫画の王道と
言える熱く震える展開だった前巻から一転、今巻では
人間同士の権謀術数渦巻く鬱々とした流れ。人と巨人が
戦うより、人と人が争うシーンを見る方がよっぽど
しんどいとは。そして巨人の謎を解くためには、巨人側
だけでなく、人間側にもその鍵があることが見えてくる。
壁の外側と内側。どちらに向かうにせよ、これ以上
104期兵が減らないといいなと思ったり思わなかったり。

■今井哲也『アリスと蔵六』3巻 徳間書店
前巻でバトル展開がいったん終わったと思ったら
さくっと新章へ突入。こんなにあっさり方向
変えてくるとは想像してなかった。嵐のように
駆け抜けた1~2巻に比べ、今巻は主人公の新しい
生活をゆっくり丹念に描く。いい意味で普通の
日常漫画みたいになっていく中、新たに能力に
目覚めた少女も現れて…。もうどんな展開になるか
まったく分からないけど、そのぶん楽しみも増えた。

■松田奈緒子『重版出来!』3巻 小学館
漫画編集部漫画3巻は、一冊丸ごと新人作家話。
初めての持ち込みからあれよあれよという間に
人気作家になっていく人から、何年やっても駄目で
どんどん荒んでしまう人まで、いろんな作家を描く
一方で、作家を厳しくも粘り強く育てる人から
使い捨てのように扱う人と、編集者側もきっちり
描き分ける。作家と編集者の相性もあるし、漫画を
作って売り出すのって本当大変だと実感。そんな中
特に気になったのは、絵は下手だけど描きたいものは
山ほどある中田くん。モデルはやっぱり諫山せ(ry

■漆原友紀『蟲師 特別篇 日蝕む翳』 講談社
最終巻の発売から5年以上を経て、まさか新作が
読めるとは思ってなかった『蟲師』特別篇が登場。
しかも雑誌掲載とほぼ時を同じくして、アニメ版も
放送され、さらにその余勢を駆ってアニメ新シリーズ
『続章』まで放送開始。盆と正月が一緒に来るやつや。
スタッフも、8年前に放送された前シリーズと同じ方が
集結しているため、相変わらずの超絶クオリティ。
画も動きも声も音響もこだわりまくってるし、何より
原作に対する愛情と敬意が滲み出てるから素晴らしい。
漫画好きであるがゆえに、原作付アニメは厳しい目で
見てしまうというか、そもそもアニメはほとんど
見ないようにしてるんだけど、今期は『蟲師』だけでなく
『ジョジョ』とか『ピンポン』とか、原作愛に溢れてる
作品が多くて幸せ。いい時代になったなー。












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