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kuro score >>> cross core !!!

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今月は、量ではなく質的な意味で豊作。
待望の新刊のみならず、発行されることを
つい最近まで知らなかった新作が立て続けに
登場。読み応えありすぎて、幸せでした。

■庄司創『三文未来の家庭訪問』 講談社
アフタヌーン四季大賞の受賞作と、その後本誌に
掲載された作品二編を収録した短編集。三作とも一見
地味で素朴な絵柄に対し、内容はがっつりSFという
クセのある作風。それゆえ、漫画やSFに馴染みの薄い人
には敬遠されそうな感じはありますが、読み始めたら
じわじわと物語の世界にのめり込んでゆくことに。

死の直前、文明が発達しすぎた地球外生命体から千年の
仮想体験空間へ落とし込まれかけるが、慎ましい日常の
幸せを希求する想いが身を助けることとなった「辺獄にて」。
約5億年前、カンブリア紀の古太平洋を舞台に、擬人化
されたヨホイアとカナダスピスという生物の生き様を描く
「パンサラッサ連れ行く」。どちらも、よくこういう
世界観を構築できるなあと感心通り越して、少し呆れる
ほどだが、実質デビュー作にあたる、単行本の表題作
「三文未来の家庭訪問」が、輪をかけて素晴らしい。
ある思想の下、子供を産める男を遺伝子操作によって
作り出していた集団生活団体が強制解散させられる。
ストーリーは、団体出身の男子(見た目は女子)と
その家族、一般社会に適応できるよう補佐する家庭相談員、
そしてカルト組織所属の家庭に育つ女子が絡み合って
進行するという、粗筋と登場人物だけ見るともはや
意味不明だが、読後はこれが爽快感すら感じる成長物語に
なっている。話の冒頭から、どこか呑気な雰囲気が
漂っていたからこそ、逆に不穏なものを感じたんだけど
その呑気さが結局すべてを救うことに。受ける印象は
正反対だが、なぜか主人公の住む団地がライ麦畑と重なった。

■九井諒子『ひきだしにテラリウム』 イースト・プレス
九井諒子最新作は、ショートショート集。
200ページ超の単行本に33篇収録という超詰め込み
仕様なので、一篇あたり2~10ページとなっております。
最初に通して読んだ時に感じたのは、初っ端収録の
「すれ違わない」を始め「パラドックス殺人事件」など
メタ視点の話が多いなということで、その極致と言えるのが
タイトルもそのまんま「ショートショートの主人公」。
二段重ねのオチもひどい(笑)。ページ数が少ないからか
投げっぱなしみたいなオチが多々あるものの、必ずひと捻り
入れてくるのがツボ。「龍の逆鱗」や「旅行へ行きたい」、
「ユイカ!ユイユイカ!」、「こんな山奥に」あたりの
捻った上で叩き落とすみたいな感じが痛快。トチギー島とか
スギカフーンとか笑うしかない。そんな中「恋人カタログ」や
「代理裁判」、「スペース お尺度」といった、あたたかくて
愛らしい小品をちょいちょい混ぜてくるのが、なんだかずるい。
でも、一番じわじわくるのは「遠き理想郷」最後のコマです。
■岡本健太郎『山賊ダイアリー』3巻 講談社
猟師漫画も気づけばもう3巻。しかし、その面白さは減速
どころか加速。まずは前巻の続きで、鹿狩りからスタート。
前回の猪と違って、友人の散弾銃で止めを刺したので
猟よりも解体&調理シーンがメインに。解体はシンプルな
絵柄であっさり描いてるけど、実際にやろうと思ったら
大変だろうなあ、これ。でも料理してるとこが相変わらず
美味しそうでね。鹿刺しとか、スペアリブのタレ漬け
炭火焼きとか、読んでるだけでお腹減る。やっぱ羨ましい。
あと今巻では、あらためて狩猟免許から、銃を所持するに
到る過程、そしてその心構えまでが分かりやすく解説。
「日本で銃を持つ」ということの大変さの一端が垣間見える。
そして表紙にもあるように、カラス話も満載。カラスが
牛を食うのは衝撃でしたが、それ以上に解体の際の
様相が…。いろんな意味で、カラスこわい。

■堀尾省太『刻刻』6巻 講談社
緊迫の前巻に続き、今巻で冒頭に堂々登場したのは…
誰だっけ、これ? というくらい存在を忘れてた
お父っつぁんです。主人公一家の大黒柱。無職ですが。
このおっさんが、出てくるなり延々ダメ人間思考を
垂れ流すという。やっぱりダメだ、この一家(笑)。
だが、人外のものに変化した佐河の影響で止界もまた
変化を始め、小規模な野望を抱いたおっさんの思惑と
絡んで、世界はあらぬ方向へ進み出す。終盤では
本石の誤発動&破壊も含め、いよいよ最終決戦か?
という展開。しかし、ダメ人間まみれの中、一人
思考力&決断力の高さで気を吐く潮見が、半端ない。

■冲方丁・作/槇えびし・画『天地明察』4巻 講談社
1年半と長きにわたる北極出地を終えるも、建部は
亡くなり、想いを寄せていた“えん”は別の人の元へ
嫁入り。心が乱れる最中、それでも宿願の関孝和への
設問を果たすことで、北極出地から帰ってきて以降
ようやく最初の一歩を踏み出す。真面目で優しいゆえに
今巻ではずっとうじうじしてますが、今後ブレずに
前進していくために必要な停滞だったのだろうと感じた。
兄との会話で真剣勝負を欲する自身に気づいたことだし
後は走りだすだけ。あと、主人公に発破をかける闇斎先生の
会話が、連載時よりかなり描き直したというか、長く
なってましたが、その分わかりやすく説得力が増してた。












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