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kuro score >>> cross core !!!

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先月の予感通り、今月は新刊が立て続けに刊行。
もう少し分散してくれると助かるんだけど
発行サイクルが似ていると仕方ないのかな。

■清家雪子『月に吠えらんねえ』3巻 講談社
近代□(詩歌句)街が舞台の本作が、とうとう近代を
終わらせた、あの戦争へと踏み出す。詩想を取り戻すため
□街を離れ「遠い旅」に出た犀(室生犀星)がたどり着き
目にしたのは、敗色濃厚な戦地と、積み重なる死そのもの
だった。彼が戦地で追い詰められるのと呼応するように
朔も紀元二千六百年を祝う本土で追い込まれていく。

一冊ほぼ丸ごと使って描かれた戦争は、前巻のインパール
から始まり、硫黄島、そしてサイパン最北端の岬で一旦
幕を閉じる。はるみくん(折口春洋)の消えた硫黄島も
凄惨だったが、島で出会った少女ハルコとのサイパン縦断
逃避行の終焉は、さらに重く、打ちひしがれるものとなる。
文学ファンタジーだと思っていたけれど、ここにあるのは
安易な救いや癒しを良しとしない、苛烈な創作者の矜持
だった。それは戦時中の日本を描くシーンでより明確になる。
文壇こぞってお上の手先になる状況を厳然と批判する
石川くん(石川啄木)がその象徴だが、彼の主張はまさしく
今の日本にも深く突き刺さるもので、漫画といえど、よく
この表現をこのタイミングで落とし込んできたなと痺れた。
一方、主人公である朔は石川くんとは異なる形で現状に
抗おうとする。一見感傷的に見えて、その実、身を削るような
方法論は、この作品の真のテーマを浮かび上がらせることに。
その実態は次巻以降明らかになるとして、本巻最後の一編は
60~70年代の学生運動から現代日本をめぐる石川くんの
旅を通じて、偉人や文豪をネタやキャラとして消費する
罪深さを白日の下に晒すという、かなり捻じれた内容。
でも、この「実在の人物を都合よく書き換える」という
テーマも、実は今後の展開に深く関わってくる。重量級の
3巻に続き、より痛く、より容赦ない4巻を震えて待て。