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kuro score >>> cross core !!!

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DCコミックスのヒーロー『アクアマン』の映画化。
海底王国アトランティスの王族でありながら政略結婚に
反発し、ひとり地上に逃れてきた女王アトランナ。
そんな彼女を救った灯台守の男と恋に落ち、生まれたのが
海底人と地上人のハーフ“アクアマン”ことアーサーだった。
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今月は新作含めてこの4冊。
新しい年にふさわしく、ほの明るい未来が感じられて
心があたたかくなるような作品が読めたのは嬉しい。

■高松美咲『スキップとローファー』1巻 講談社
石川県の端の端、海辺の小さな町から、東京の進学校に
入学するため上京してきた岩倉美津未(みつみ)15歳。
T大法学部を主席卒業し、総務省でキャリアを積み、定年後は
地元で市長として活躍する。そんな明確な人生設計がある
彼女は前向きで、しっかり者で、できる女性…だと本人は
思っているけど、周りから見ると勉強以外は危なっかしい
猪突猛進型の天然女子。でもその性格、言動が、少しずつ
周囲に伝播し、都会の同級生たちも和ませていく。
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2018年の積み残しは6冊。
この年末年始は、やることがいろいろありすぎて
全然落ち着いていられなかったけど、この連休で
やっと時間が取れて、積読漫画も積み崩し中。しかし
既に1月発売分が着々と増え始めているのであった…。

■諫山創『進撃の巨人』27巻 講談社
物語の序盤から意味ありげに触れられてきたミカサの
出自がようやく明らかになった27巻。これほどきっちり
丁寧に伏線を回収していくのは本作ならではか。だが
今やそうした謎すら些細なものに思えるほど、事態は
大きく、重く、動き始めてしまった。真意を見せぬまま
ミカサもアルミンも置き去りにひとり突き進むエレン。
夕日の下、仲間6人と語り合ったかつての日々が尊く
眩いからこそ、今、目の前に落ちる影は深く昏い。
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上位の方は固定っぽくなってきてますが、どの作品も
終盤に向けて静かに、熱く盛り上がってきているので
外すことができなかった。来年には、結末が見られる
作品も出てくるのかな。待ち遠しいような寂しいような。

1位:清家雪子『月に吠えらんねえ』9巻
一冊一冊が重厚かつ濃厚だった月吠も、9巻にして
ついに佳境を迎える。遠い、遠い旅路を経てたどり着く先、
目指すべき場所は、はじまりの地点、朔と白ふたりの
邂逅であった―。近代詩そのものを擬人化した物語は必然
日本と愛国心、そして戦争詩という近代史の問題から
逃れることはできないが、本作はそのテーマと真正面から
向き合うだけの覚悟と胆力があり、さらにはそこを超えて
日本近代詩の原点に迫ろうとする野心作であることが
ここ数巻の流れで明確になった。終わりが近づいているのは
寂しくもあるけど、こんなに壮大で過剰でややこしい作品を
きっちりまとめようとしている作者の誠実さを信用しているので
最後の最後まで駆け抜けていってほしい。

2位:市川春子『宝石の国』9巻
作者の業と性癖を煮詰めて前面に吐き出しているのに
どこか品の良さと切なさが漂っているのが『アフタヌーン』
という雑誌らしさだと思っていますが、その特徴を今最も
色濃く反映しているのが月吠と本作だと思っているわけです。
市川先生の性癖といえば、まず欠損と擬似家族(兄弟)が
思い浮かぶけど、この9巻ではその趣味が全開に。特に
カンゴームが自由を望む場面では、彼/彼女の身体のみならず
心まで砕けていく様が、丁寧に鮮烈に美しく描かれるという。
さらにそれだけには飽き足らず、主人公フォスの心身も
一撃の下に粉砕されてしまう容赦のなさ。いろんな意味で
心が震える本作の続きを読むのが怖い。でも、読みたい。

3位:吾峠呼世晴『鬼滅の刃』11巻
週刊連載のスピードは速く、既に13巻まで出てますが
今年一番心に残っているのは、11巻の終盤に描かれた
鬼の兄妹・妓夫太郎と堕姫のエピソード。主人公たちと
戦っている時は、ひたすらしぶとく強く厄介な敵として
立ちふさがっていたけど、その過去はあまりに重く
救いのないものだった。そして、人に救われた竈門兄妹と
対比するように、鬼に救われてしまったふたりの姿を描く
辛辣さ。お互いを想う気持ちの強さなら、主人公兄妹にも
負けていなかったからこそ、その哀しみ、絶望は深く
感じられた。でも最期、妓夫太郎が愛おしい雪の中の情景を
思い出してくれたことが微かな、本当に微かな救いになったと思う。

4位:荒木飛呂彦『岸辺露伴は動かない』2巻
ジョジョ4部の人気キャラクター岸辺露伴のスピンオフ
シリーズ続刊が、5年ぶりに刊行。収録された短編4本は
どれも秀逸なミステリ群。露伴先生のキャラの濃さは
控えめになっちゃったけど、ストーリーの面白さで
ぐいぐい引き込んでくれる。すべてのエピソードは
共通して、何かヤバいことが起こりそうな雰囲気で
幕を開けるけれど、意外とほっとできる話が多かった。
一番最後の「ザ・ラン」を除けば…。この話に出てくる
橋本陽馬の有無を言わさぬイカレっぷりは、初期名作
『魔少年ビーティー』を彷彿させて、ぞっとした。

5位:衿沢世衣子『ベランダは難攻不落のラ・フランス
10代の少年少女をめぐる8編の物語。
ちょっと不思議なタイトルは、その短編の題名を
いくつかくっつけただけなのに、全編に漂う飄々とした
雰囲気だけは伝わってくる。ここに出てくる子供たちも
その中身だけでなく、描き出される表情の一つひとつが
柔らかく、優しく、繊細で、見ているだけでなんだか
あたたかい気持ちになれるのが美点。穏やかな休日に
ゆったりとした時間が流れる中で、眺めていたい一冊。
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今年見逃した中で、見とけばよかったなと少し
後悔してるのは、『リメンバー・ミー』を筆頭に
『ペンギン・ハイウェイ』とか『若おかみは小学生!』、
『リズと青い鳥』などなどのアニメーション系。
おっさんが見に行くのはどうなんだろうと迷ってるうちに
上映終了しちゃったので、来年は勢いでいろいろ見に行こう。

1位:ブリグズビー・ベア
偽りの両親に騙され、閉鎖的な世界で暮らしていた主人公。
ある日突然、その呪縛から解き放たれたものの、外の世界は
必ずしも彼にとって素晴らしい世界ではなかった。そんな
世間からズレてしまった主人公が、へんてこクマを心の支えに
自らの居場所を作り出していく成長物語。どんな困難にも
マイペースに邁進する主人公もいいんだけど、何より
彼が新たに生み出したブリグズビー・ベアの世界が素敵だった。
真っ青な空の下、白い砂地に日光が眩く反射する中、ひとり
佇む着ぐるみのクマ。偽の親が生み出した、忌々しくも
バカバカしい存在を、一瞬で神々しいものに変えて見せた
ひとりの青年の熱く折れない心を思うたびに、ぐっとくる。

2位:スリー・ビルボード
最愛の娘を奪われた母親と、無能な警察。
最初は、そんなステレオタイプな内容に思われた
ストーリーは、話が進むにつれ一筋縄ではいかない
展開を見せる。犯人逮捕に向け、危ういほど暴走する母、
家族思いで真摯だった署長、差別主義で横暴な巡査…。
こうした人たちの組み合わせが、思ってもみない結果を
引き起こし、互いに反応し、予想外の方向へ飛んでいくことに。
なかでも、絶対かみ合わないはずの母親と巡査の関係が
終盤、思わぬ形で絡んでいく流れで、思わず熱くなった。
このふたりの“その後”が少しでも明るいことを願う。

3位:万引き家族
是枝監督最新作は、万引きで生計を立てる疑似家族の
物語。血がつながっていないことと、万引きを普通に
行っていることを除けば、つつましくもたくましい
家族の日常が、静かに、優しい目線で映し出される。
その中で、成長していく子供と、成長できない大人が
対照的に描かれるが、彼らの真ん中にいるようで
いつの間にか輪の外から眺めていた祖母の姿が
忘れられない印象を残す。海辺で、彼女が家族を見遣る
シーンは、この先もずっと胸の奥に漂い続けるだろう。

4位:ウインド・リバー
アメリカの雪深い山岳地帯を舞台にした、クライム
サスペンス。ネイティブ・アメリカンの絶望と諦念を
封じ込めたような苛烈な作品だったけど、それにもまして
過酷で美しい雪一面の世界が印象的。人々の怒りも罪も、
真っ赤な鮮血さえも覆い隠すように降り積もる雪を前に
ただ祈るような気持ちで画面を見つめることしかできなかった。

5位:君の名前で僕を呼んで
1983年の夏、北イタリア。心身ともにたくましく見えた
オリヴァーと、繊細に見えたエリオの「ひと夏の想い出」を
美しい風景と様々なメタファーを交えて描く。画面作りから
語り口まで、どこを取っても古き良き映画という風情で
ただ眺めているだけでも豊かな気持ちになれる一作。話とは
別に、いろんな意味で贅沢な時代だったんだなあと感じた。